マイナー通貨の相場は今後も荒れる可能性
今年の相場では、この3通貨を組み合わせた売買戦略で利益のチャンスはさらに広がると感じている。逆にいえば、当面はこの3通貨のトレードだけで十分なのではないだろうか。
というのも、13年末にアメリカが利上げに先んじて量的金融緩和第3弾(QE3)の縮小を決定したが、その発表を待たずに一部の新興国では資金引き揚げを警戒する株安や通貨安が起こった。今回も利上げをめぐって同じような事態が発生する可能性は否定できない。すでに豪ドルや南アフリカランドなどは14年末から厳しい下落に見舞われており、今後もいわゆるマイナー通貨の相場は荒れる可能性がある。
また、15年1月に投資家を震撼させた「スイスフラン・ショック」(※②)の例からも、今後再び別のマイナー通貨で似たような暴落や暴騰が起こらないとも限らない。これらの通貨は米ドルやユーロなどのメジャー通貨に比べてスプレッドが広くコストが高いこともあり、当面はリスクが大きい反面メリットは少ないと感じている。
ドル高、そして円安、ユーロ安のトレンドは、少なくとも各国の金融政策が終わるまでは続くだろう。特にアメリカの利上げは10年に一度のチャンスといわれており、勝負をかける価値はあるのではないだろうか。
利上げ幅は年1%程度との報道もあり、急激に上昇する可能性は少ないだろうが、今後数年かけて日米の金利差が広がってくればかつてのように、スワップ金利を目的に長期保有するようなトレードも可能になるかもしれない。
ただし、どんな相場であっても調整局面は必ず来る。特に利上げに対する思惑が交錯する今後のFOMCの前後は、相場が相当荒れることも予想される。どういうタイミングでエントリーしてどこで損切りするか、といったシナリオをあらかじめ描いておき、ルールを厳守してトレードしていくことが大切だ。
せっかくのチャンスだからこそ、このタイミングでマーケットから退場させられることのないよう、レバレッジのかけすぎには十分注意したい。
トレンドがわかりやすい主要3通貨のトレードで利益を出そう
基本トレンドとして、米国はQE3終了、利上げを見込んでドル高基調。一方、日本と欧州は、それぞれ量的金融緩和を進めており、円安、ユーロ安のトレンドが生じやすい状況にある。
CASE1
米ドル/円が上昇する一方でユーロ/円が下落していた場合、米ドルがもっとも強くユーロがもっとも弱いということになる。この場合、日本円を絡めたトレードよりも、ユーロ/ドルを直接ショートすると利益を出しやすい。
CASE2
米ドル/円の上値が重く下落に転じた時にユーロ/ドルも下落していた場合、円がもっとも強くユーロがもっとも弱いということになる。この場合は、米ドルを中心としたトレードではなく、ユーロ/円のショートがもっとも利益を出しやすい。
※「マネーポスト」2015年夏号に掲載