一戸建てではなく、郊外の同じような立地の中古マンションも悲惨だという。
「最初に買ったご夫婦から子供の代に所有者が世代交代すると、便が悪いから相続人は住まない。マンションに借り手も買い手もつかない空き室が増えていく。空き室でも相続人が管理費や修繕積立金をキチンと払うのであればまだいいが、滞納されるとマンション全体のメンテまで行き届かなくなる。必要な修繕積立金が足りなくなれば、壁面のタイルが剥がれたり、雨漏りなど至る所が壊れてくる」(同前)
資産価値の低い物件は、どんどん価値が損われていく。その転落を止めるのも難しい上に、途中で手放すこともできない袋小路である。
そうした不動産を相続する子供たちも悲惨だ。一戸建ては廃墟化すると治安が悪化し、危険度が増す。解体には100万円以上の費用がかかるうえ、更地にしたら固定資産税がハネ上がる。土地が売れなければ毎年税金を払い続けなければならない。
もちろん、借り手がつかない中古マンションも管理費・修繕積立金で毎月1万~2万円を払わなければならない。
子供に「資産」を残すつもりでせっせとローンを払ってきたのに、「不良債権」を相続させてしまうことになる。