「少しでも節約するために、余ったお弁当を持ち帰って翌朝の朝ごはんにしたり、差し入れのお菓子で一食分浮かしたりしていました。缶ビールがケースで届いたときに、抱きしめて帰ったこともあります。すごく重かったけど、すごくありがたかったです」
ただでさえお金がないのに、2週間もタダ働きをしていては、そのあとさらなる生活苦に陥ってしまうのは必須。それでも真面目に手伝いに参加するのはなぜか。Aさんは続ける。
「やっぱりなんとか売れたいと思っている芸人にとって、売れている先輩の生の稽古や本番の裏側を見られる機会は貴重です。生でネタを考えている姿などを見ると、売れている先輩でも苦労しながらネタを考えるんだなあ、って感慨深いですし、ツッコミのパータンもいろんなものがあるんだって勉強になります。あとは、先輩と仲良くなるチャンスでもあります。もしかしたら、『面白いやつ』だと思われてテレビに呼んでもらえることがもあるかもしれない、というちょっとした下心もあるんです」