東京市場が冴えない中で、同じアジアでも、中国、香港市場は堅調である。7月31日と8月28日の終値を比較すると、日経平均株価は2.4%下落しているが、上海総合指数は2.7%上昇、また、香港ハンセン指数は2.0%上昇している。さらに、H株指数は4.7%上昇しており、香港市場では中国関連の強さが目立つ。
上昇要因の一つはファンダメンタルズが好調であることだ。証券時報の集計によれば、8月27日夜までに発表された本土A株上場企業2194社の合計で、2017年6月中間期の純利益は25.6%増益であった。全体の71%に当たる1560社で利益が前年同期よりも増えている。石炭、鉄鋼、非鉄金属、化学工業、エンジニアリングといった景気循環によって業績が左右されるシクリカル銘柄の利益が大きく増えている。この部分だけを見ていれば、景気回復の初期段階のようである。
7月に入って、企業業績は少し鈍化している。国家統計局が8月27日に発表した7月の全国一定規模以上工業企業利益は16.5%増で、6月と比べ増益率は2.6ポイント下落している。ただし、7月の減速は、猛暑となった地域が多く、その影響で、企業が休暇を増やしたこと、生産を停止したことなどが影響している。景気が腰折れしたわけではなさそうだ。
日本のマスコミでは、当局による景気刺激策によって中国景気が支えられているといった見方が多いようだ。しかし、本土研究者の見方は異なる。例えば、中国人民日報は8月28日、東南大学経済管理学院の徐康寧教授の論文を掲載しているが、その内容はおおよそ以下の通りである。