消費増税や建築コストの高騰などで首都圏の新築マンションの供給は減少している。活況になる潮目はどう見極めるべきか、東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。
* * *
不動産の市況は、新聞広告の変化や新聞の折り込みちらしでも傾向をある程度知ることができる。景気がいい時は圧倒的に新築物件のちらしのほうが多く、分厚くて広げると大きいという特徴が顕著になる。
現在は中古物件の折り込みちらしのほうが多く、都内でも中古の戸建て住宅の折り込みちらしも目立つ。都市部で「第1期第1次募集」と書かれた新規物件の豪華な広告が多く入ってくるようになれば、新築市場はいい流れに入ったという判断材料の一つになるだろう。
来年度の住宅政策のバックアップなどの方針が速やかに決まれば、市場はまた活発に動き出すだろう。現行の住宅ローン減税では2017年末までに入居した場合、年最大40万円、10年間で最大400万円の控除が受けられるが、さらなる優遇策など購入希望者の背中を押すような制度が出てくれば市場活性化の起爆剤になるのではないか。
いい物件があれば新築物件を買いたいと、供給を待っている人々は多い。供給側が新築物件をどれだけ投入してくるかも市場を左右する。大手デベロッパーが当初はもっと早く売り出すつもりだったウェイティング中の物件がいつ出てくるかという点も、2015年の注目ポイントになるかもしれない。
※マネーポスト2015年新春号