「これは働く高齢者に適用される『在職老齢年金制度』によるものです。60歳以上の年金受給世代の人が厚生年金に加入した状態で働くと、受け取る厚生年金が減額、あるいは全額カットになる制度です」
判定基準となるのが、「総報酬月額相当額」。「その月の収入」と「直近1年間に受け取った賞与の12分の1」、そして「年金月額」の合計額が、一定額を超えると減額される。
「60~64歳までが28万円、65歳以上は46万円です。減額されるのは超過した分の半分。山下さんは、総額報酬月額相当額と年金月額は48万円で超過した20万円の半額(10万円)が年金から引かれました」(北村氏)
頑張って働いた末に、年金が減ったという「落とし穴」が待っていたのである。
取りこぼしのない給与額
現役時代は中堅食品メーカーの営業部長だった東京都在住の三田晋司さん(63・仮名)は、「収入は少なくてもいいので私生活を充実させたい」という思いで、再雇用先は子会社の事務職を選んだ。
残業は一切なく、休みも取りやすい。ただし、給与は定年時の45万円から24万円とほぼ半減した。