「2020年までに女性管理職を30%にする」──安倍晋三首相のそんな掛け声でスタートしたのが女性活躍政策だった。
2015年8月に「女性活躍推進法」が成立。企業は女性活躍の数値目標、その達成のための行動計画などの公表を義務付けられた。だが、「政府は本気ではない」と喝破するのは経済ジャーナリストの荻原博子氏だ。
「“女性が輝く社会”といえば聞こえはいいが、人口減少による人手不足を補うために女性を働かせるとともに、専業主婦を“年金を支える側”に組み込もうという狙いが透けて見えます。
その証拠に2016年10月からは、短時間労働者への社会保険の適用が拡大され、パート主婦でも年収が106万円以上であれば、厚生年金と健康保険の加入が義務づけられました」
女性の社会的地位向上に本当に寄与するような取り組みはほとんど進んでいない。“パート主婦でいるより正社員として働いたほうがいい”という動機付けのために、専業主婦に有利な「配偶者控除」の撤廃も検討されたが、結局延期されたままだ。荻原氏が続ける。