アメリカのマクロ経済学者の研究ではなく、日本のミクロ経済レベルで何が起こっているのかという研究から始めなければならないのだ。
仮説の一つとして、マイナス金利ではなく「金利を5%にすると、どうなるか」を考えてみよう。個人の現金・預金932兆円に金利が5%付けば、利息は約47兆円である。それに対して税金が20.315%(国税15.315%、地方税5%)課税されるので、約9.5兆円の税収増となる。これは消費税5%分の税収に相当する。
さらに、現金・預金の60%を60歳以上の高齢者が保有しているとすれば、高齢者1人あたり年間約52万円(税引き後)の利息が入ってくる計算になる。そうなれば漠たる将来の不安を募らせて貯蓄に励んでいる高齢者たちも、お金を使って人生を楽しもうという気になるはずだ。
つまり、「低欲望社会」においては、従来のマクロ経済学の理論とは逆に、金利は高いほど景気が良くなるのだ。さらに、日本が金利を5%にすれば、それを目当てにドルキャリートレードやユーロキャリートレードが盛んになり、世界中から日本に資金が集まってくるだろう。