日本は世界でも類を見ない「低欲望社会」となった──そう語るのは、最新刊『武器としての経済学』で経済の「新常識」を数々提示した大前研一氏。「低欲望社会」だからこそ、個人の金融資産が増えてもそれが消費に回らないのが今の日本経済の実情だという。
それでは、この極めて特異な状況を買えるにはどうすればよいか。大前氏は、マクロ経済の視点のみならずミクロ経済の再分析が必要だと説く。なぜなら、個々人の心理を知ること(ミクロ)こそ、その集積体であるマクロを理解できるからだ。以下、大前氏が解説する。
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経済学はつまり「こうしたらどうなるかという仮説」だから、今の日本のミクロ経済の現象を詳細に観察し、それを分析して仮説を作り、その仮説を理論として実証していかねばならない。
たとえば日本人100人に話を聞き、その人たちがお金を使う心理になるためにはどうすればよいか、ということを考えて仮説を作り、“ミニマクロ経済理論”を組み立てる。これが非常に重要なプロセスとなる。