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働く高齢者 年金控除見直し等で“トリプル減収”を迫られる

 小泉政権時代には年金改悪に加えて税制でも数々の控除を縮小する“隠れ増税”が行なわれ、高齢者も狙い撃ちされた。2005年の税制改正で公的年金等控除の最低額を140万円から120万円に引き下げた“年金増税”では、税収が年間約2280億円も増えた。もちろん全額、年金生活者が生活費を削って納めた税金だ。

「働く高齢者」の収入は年間約67万円ダウンの試算

 そして今回の税制改正で最も打撃を受けるのは、「在職支給停止」で年金を減額されている、働く高齢者たちだ。働く高齢者は、給料には「給与所得控除」、そして年金収入には「公的年金等控除」を受けることができる。

 ところが、「見直し」に言及した自民党の宮沢洋一・税調会長は公的年金等控除とともに給与所得控除の縮小に意欲を見せ、働きながら年金を受給している高齢者が2つの控除を受けられる仕組みも再検討する必要があると指摘している。

 年金生活者は「年金増税」による負担増だけだが、働く高齢者は、在職支給停止で年金を減額されたうえ、さらに給料にも増税、減額後の年金にも「年金増税」という、収入のトリプル減額を迫られる。

 本誌は年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏の協力で、この高齢者狙い撃ちの税制改正が行なわれたらいくらの収入減(負担増)になるかを試算した。公的年金等控除は廃止ではなく、前回と同じく控除額が20万円縮小、給与所得控除は15万円縮小するという控えめな税制改正を前提にした。

 まず夫婦の年金合計が28万5000円(67歳の夫・老齢年金22万円、67歳の妻・国民年金6万5000円)の年金生活世帯のケースでは、所得税と住民税が2万7500円増税される。率にして実におよそ1割の税負担増である。国民健康保険料が1万8860円アップで年間4万6360円の負担増になる。

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