この特例は恐喝についても準用されます。そのため子が親を脅かして金を巻き上げても処罰されません。なお、恐喝を受けての贈与の意思表示を取り消すことができるので、民事的には取られた金を返すように要求できます。
ただ、親が脅しに屈せず、子が暴力をふるって金を奪い取れば、刑法236条で5年以上の有期懲役(20年以下)で処罰される「強盗罪」を犯したことになります。強盗罪には親族相盗の特例は適用されませんから刑事事件になります。
そして、その際にふるった暴行でケガをさせれば強盗致傷罪となり、無期、または6年以上の懲役で処罰されます。こうなったら大変なことです。その恐れがあるときには早めに警察に相談し、要求がエスカレートしないよう、指導を仰ぐべきでしょう。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2017年10月6日号