「96%が共済年金がらみで、元公務員の妻が基礎年金に上乗せされる振替加算をもらえていないケースです」(同前)
そのことを踏まえると解せないのが、今回の対応の“迅速さ”である。
かつての消えた年金は5000万件、総額で数兆円が支払われていなかったにもかかわらず、対応が遅れに遅れた。2007年の2月に未払いが公になったが、5月に第一次政権当時の安倍首相は「国民から申請があれば全部払わないといけないのか」と発言し問題となった。その1か月後には一転して「年金はすべてお支払いする」と表明したが、実際の対応はその後も遅々として進まなかった。
2011年9月になっても記録の持ち主が判明したのは1600万人に留まった。10年経った今でも、1951万人分の記録が消えたままだ。いまなお全容の把握と未払い対応が続いている。
それに比べて今回は9月13日に未払い事実の発表があり、11月から早くも支払いが開始される。10年前とは段違いのスピーディな“救済”だ。
皮肉なことに、「過去の経緯を考えれば、今回は公務員相手だからこれだけきっちり調べて迅速に対応しているのかと思われても仕方ない」(社会部記者)という声も上がる。社会保険労務士の稲毛由佳氏が話す。