新たに発覚した年金の支給漏れは、「第2の消えた年金」と呼ばれている。10年前の年金問題を思い起こさせるが、よくよく見てみると、両者の間には決定的な違いがあった。
10万5963人に598億円もの年金未払いがあったことが9月中旬、明るみに出た。未払い金額が590万円に上る人もいる。
原因は、公務員向けの共済年金と厚生年金が統合した(2015年)ことに関連した、年金機構と共済組合間のデータ共有不足だった。共済側の年金支給状況が統合後把握できていなかった「情報連携不足」(約5万3000人)や、「システム処理に起因するもの」(約3万600人)などだという。
「年金保険料の納付情報が支給に反映されず未払いになってしまった構図は、5000万件もの年金記録が宙に浮いてしまった『消えた年金問題』と同じです」(社会保険労務士)
だが、10年前とは大きな違いがある。それは、今回の対象者が、民間ではなくほとんどが元公務員だということだ。