日本株が15年ぶりの高値水準で推移しているが、この先はどう動くのだろうか。今後の日本株の見通しについて、カブ知恵代表・藤井英敏氏が解説する。
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日経平均株価が大台の2万円に到達してもなお懐疑的な見方を繰り返す専門家もいるが、当面、日本株の見通しは明るい。
国内では、日銀の追加金融緩和で市場にマネーが溢れていることに加え、政府が主導する格好で各企業でベースアップが相次ぎ、賃金も上昇。米国は緩やかな景気回復基調で利上げも視野に入り、たびたび債務危機が取り沙汰されてきた欧州もすでにセーフティネットが構築されているため、懸念材料は少ない。
需給面で見ても、“クジラ”の異名を持つGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を筆頭に、ゆうちょ銀行やかんぽ生命などの巨額マネーが株価を下支えし、日銀がETF(上場投資信託)を買い支えるなど、もはやマーケットの自律性など無視したような“お上”の強力サポートが続いている。
肝心の企業業績も死角は少ない。円安に加え、米景気の好調持続などで外需は視界良好だし、内需も消費増税の影響が一巡し、賃上げによる家計の消費回復期待が高まっている。仮にこの先、日銀の2%インフレ目標が遠のくようなら、“黒田バズーカ第3弾”となるさらなる追加金融緩和まで考えられ、よほど突発的なことでもない限り、日本株が急落する理由は見当たらない。
そうしたなか、日経平均は26週移動平均線が下値をサポートする格好で推移しており、調整があったとしてもその近辺(1万8000円前後)までで、反発する可能性は高い。ただ、昨年10月以降の上げ幅を見ると、ここからの大きな上昇は考えにくく、年内に2万2000円といったところが現実的な水準ではないか、と予想する。
※マネーポスト2015年夏号