9月25日の会見で安倍首相は、東京五輪が開催される2020年度までの3年間を「生産性革命集中投資期間」とし、大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員すると述べた。だが、水面下ではむしろ、五輪を理由にした「新税」の創設が進められている。
まずは日本を出国する人に課す「出国税」だ。政府が2020年までに訪日外国人客数を年間4000万人にする目標を掲げる中、観光庁の有識者会議は訪日客の受け入れ態勢を充実する財源という名目で、「出国税」を巡る議論を開始した。「秋にも議論をまとめ、年末の税制大綱に反映させる」(同庁関係者)方針で急ピッチで作業を進めているのだ。
豪州や韓国などで実施されている制度だが、その多くは外国人観光客だけでなく自国民も課税対象としている。つまり、日本人が海外に出かける際にも出国税を徴収される可能性が高い。
仮に、一人1000円の出国税を、訪日客と日本人出国者を足した4000万人(2016年)に課税すると、400億円もの“荒稼ぎ”になる。こんなにオイシイ税制を国が見逃すはずもなく、五輪前に「海外の事例」や「課税平等の原則」を口実に導入を図る算段だ。