次にやっておきたいのは、食費や光熱費、通信費などの生活の基礎代謝を下げて、普段から安いコストで暮らせる習慣をつけておくことだ。さらに、将来の生活設計から老後資金に不安があるという人は、年利2%程度など一定の利回りで運用して資産を殖やすことが不可欠といえよう。
その手段としてまず注目したいのは、個人型確定拠出年金(iDeCo)だ。60歳以上の人は加入できないというネックはあるが、59歳以下の世代の人には圧倒的に利用価値が高い。その最大の特徴は、税制面のメリットが非常に大きいことだ。まずは掛金の全額が所得控除の対象となり、それにより所得税や住民税を軽減できる。例えば、年収500万円で所得税と住民税の税率がともに10%という人の場合、合わせた20%分が軽減されることになる。いわば「20%の利回り」を先取りできる金融商品なのである。
また、運用して得られる利益も非課税となり、さらに年金として受け取る際は雑所得として公的年金等控除の対象になる。また、一時金で受け取る場合も、退職所得控除が適用される。つまり、「拠出・運用・給付」の3段階で、税制面のメリットはNISA(少額投資非課税制度)をはるかに上回る。
2018年1月からスタートするつみたてNISA(少額投資非課税制度)も注目だ。現行のNISAが年間120万円までの投資を5年間行なえるのに対して、同じ少額投資の非課税制度ながら積み立てNISAは年間40万円の投資を20年にわたって続けることができる。つまり、積み立てNISAは長期間かけて老後資金を作るための投資を優遇する制度といえるのだ。
こうした制度を駆使して少しでも資産を殖やし、将来の老後破産シナリオから抜け出せるよう準備しておきたい。