これまで成長が見込める中小型株中心の運用で高いパフォーマンスを出している「ひふみ投信」が、ここにきて大型株を大量に組み入れている。従来の投資方針とは打って変わったような戦略に乗り出したのはなぜか。運用責任者である藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者)に聞いた――。
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株式市場を取り巻く状況をみると、まず北朝鮮を巡る地政学的リスクが唯一にして最大のリスク要因となっている。そうしたなか、安倍晋三首相は9月25日に衆院解散・総選挙を電撃的に発表したが、これは大きな意味を持っている。
本来なら北朝鮮リスクに対して衆院解散という政治的な空白などあってはならないはずだが、それを打ち出したということは、少なくとも選挙が終わるまで米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛けることはない、ということを示唆しているように思える。おそらく9月21日の日米首脳会談において、安倍首相はそうした確信を持ったのではないか。
もし、その想定通り10月22日の投開票日までの1か月間は軍事リスクが高まらないのであれば、選挙期間中は安心して株式投資できるリスクオンの状態となる。そうなると為替は円安に振れ、株高傾向に弾みがつき、日本の大型株にとっては有利な相場環境となるのは必至だろう。
つまり、日本株は少なくとも短期的な暴落リスクが減り、かつ今まで続いてきた小型株優位の展開から大型株の巻き返しの可能性が高まっているのだ。