中国大手キャリアであるチャイナモバイル傘下の無線・ターミナル技術研究所の楊光副所長は、「我々は2016年、関連技術に関して試験を行い、2017年には屋外技術実験場でシステム試験を行った。2018、2019年と規模を拡大して屋外技術実験を行い、基礎技術、生産の成熟度を見て、基地局の規模、数量を決めるだろう」などと分析している。
チャイナモバイルだけでなく、3大キャリアはいずれも、北京、上海、広州などで5Gシステムモデルに関する屋外実験場を建設、実験を開始している。チャイナテレコムでは、「2018年6月から2019年12月にかけて6都市で小規模商用テストを実施、2020年以降、大規模商用段階に進むだろう」などと説明している。
大唐モバイルの馬建成総経理は、「来年は世界に先駆けて中国の5Gが産業化段階に入るだろう。設備は既に小型化、低コスト化において、実用段階に達しており、来年には率先して商業段階に入るだろう」などと発言している。多くの業界関係者は、「2018年には、チップ、システム、末端製品の第一段階における技術標準が確定し、5G産業化が全面的に開始される」とみている。
5Gの通信速度は10Gbyte/秒を超え、4G・LTEのおよそ1000倍になると言われている。これだけ通信速度が上がれば、遅延が極端に短くなり、同時多数の接続が可能となる。これによって、自動運転の実用化、IoT需要の急拡大が予想される。5Gはそういう点で、社会に対するインパクトは4Gよりもはるかに大きい。中国株だけでなく、日本株でも5G関連は長期投資の重要テーマとなりそうだ。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。