米寿では元が取れない
トンチン保険に加入するか否かを判断する際、ポイントになるのは「損益分岐年齢」だ。以下、「グランエイジ」を例にとって見てみよう。
50歳から70歳までの間に毎月支払う保険料は5万790円。支払い総額は20年間で約1219万円となる。
70歳からは毎年60万円の保険金がもらえるので、受け取り金額が支払い総額に相当する1200万円に達するのはその20年後、つまり90歳まで生きなければ、受け取り金額が支払い総額を下回ることになる。しかし、もし100歳まで生きるとすれば、1860万円を受け取ることができ、返戻率は152.5%となる。
各社の「損益分岐年齢」は、88~92歳と、おおむね90歳前後となっている。
「損益分岐年齢が男性の平均寿命より10年も高いうえ、90歳ともなれば必要な生活費の額も下がってくる。本当に加入すべきかはよく検討すべきでしょう」(前出・山内氏)
トンチン保険は高齢化社会の有効な防衛策となるのか。「損したくない」という人にとっては長生きのモチベーションになるかもしれないが。
※週刊ポスト2017年10月27日号