シニア層が虎の子の老後資金を投資信託(以下、投信)で運用しようとする場合、「守りたい」のか「増やしたい」のかで選択肢は変わってくる。「守りたい」のであれば、リスクを抑えつつ、インフレが来ても老後資金が減らない程度の年利3~4%程度のリターンを目指すような安定型投信が選択肢に入ってくるだろう。
たとえば、日本を含む世界の株式や債券などに分散投資している商品や、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)のような指数(インデックス)に、基準価額が連動する投信などだ。
一方で、60歳以上でも老後資金に不安があり、多少のリスクを取って何とか増やしたいと考える人もいるかもしれない。そんな人には、高利回りが期待できる積極運用型投信が選択肢となりそうだ。これはファンドマネージャーがインデックス連動型を上回る収益を獲得するために銘柄選定などを行なう“利益追求型”のファンドで、そのぶん価格変動のリスクも増える。
積極運用型はファンドマネージャーによる銘柄選定などのための調査員が必要だったり、人手がかかるため、信託報酬などコストの部分が高くなりやすいデメリットがある。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦氏が語る。
「ただ、一口に積極運用型と言っても様々で、日本も含む世界の株式や債券に分散投資をすることでリスクヘッジをしつつ、年間20%近いリターンを上げ続けているものもあります。すべてがハイリスク・ハイリターンというわけでもありません」