金融庁によるFX(外国為替証拠金取引)のレバレッジ規制の検討が、FX業界に大きな波紋を呼んでいる。レバレッジとは手元資金(証拠金)の何倍までの取引ができるかを示す倍率で、現行25倍が上限とされているが、早ければ2018年から最大10倍程度まで引き下げるという案が報じられている。
規制が実施された場合、FX業界、ならびにトレーダーへの影響はどんなものが予想されるのか。外為どっとコム総合研究所・取締役調査部長で上席研究員の神田卓也氏は、こう分析する。
「まだ議論が始まったばかりで、実際にいつどうなるか、ということも決まっていませんが、規制が実施されれば日本のFX取引の売上高の減少は避けられないでしょう。FX業者にとって大きな痛手となるのはもちろんのこと、トレーダーにとっても国内業者を選ぶメリットは減ってしまいます。レバレッジ規制がなく、依然として高いレバレッジをかけて取引できる海外のFX業者に口座を開くトレーダーも出てくるのではないでしょうか」
金融庁によるFXのレバレッジ規制はこれまで段階的に強化されており、2010年に上限50倍、2011年に25倍まで引き下げられ、現在に至っている。
個別の材料が出れば1日に10%程度の値動きも珍しくない株式投資と比べて、為替レートの変動率は低い。だからこそトレーダーはレバレッジを活用するわけだが、それが規制されるとなれば、大きな利益を狙うのは難しくなる。また、為替相場が急変したときなどには、自身の持っているポジションに対する証拠金率が下がり、追加証拠金(追い証)を余儀なくされるケースも想定される。特に高いレバレッジをかけてトレードしている人にとっては、大きな影響が出て来ることだろう。