田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の国家発展戦略 行き過ぎた自由経済排し社会主義強化の方針

中国の2050年頃までの国家発展戦略とは

中国の2050年頃までの国家発展戦略とは

 10月18日から24日の日程で共産党大会が開かれた。初日には習近平国家主席による、これから2050年頃(2049年が建国100年)までの国家発展戦略の大きな設計図が示された。全文は3万字を超す大論文であり、発表には3時間半ほどかかったようだ。今回はその内容について、要点だけを簡潔にまとめておきたい。

 まず、現状の時代認識である。中国の特色ある社会主義は新時代に入った。新時代とは、快適で心地よい(美好)生活を作り上げ、共に裕福になる時代、中華民族の偉大な復興、中国の夢を実現する時代、世界の表舞台の中央に立ち、人類に大きな貢献をする時代としている。

 一方、現在、社会上の矛盾がある。それは、「人民が快適で心地よい生活を求める一方で、発展が不均衡で、不十分である」といった矛盾である。人民が豊かになったからであるが、だからと言って、“中国は社会主義の初歩段階にある”といった基本的な国情、“世界最大の発展途上国である”といった国際的な地位に変化はないとしている。

 新時代における社会主義思想とはどのようなものなのか?

 中華民族の偉大な復興を実現させる。全面的に小康社会(ただ単に衣食住が足りるだけではなく、政治、経済、文化など各方面において、満足できるような社会)を実現した後、今世紀中頃までに富強民主(財産に富み、強い勢いのある民主的な)文明を築き上げ、和諧美麗(みんなが仲良く暮らし、麗しい)社会主義現代化強国となる。発展の不均衡、不十分を正し、人民が中心となって発展する社会、全人民が共に裕福になる社会を目指す。

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