投資信託(投信)は、多くの投資家から資金を集め、それを投資のプロであるファンドマネージャーが運用するもので、投資先を分散できる利点がある。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が解説する。
「投資対象は株や金など値動きの激しいものから、安定した国債など幅広く、いわば投資と貯蓄の間を埋める中間的な商品と言えます。株が下がっても債券でカバーするなど、分散投資でリスクを抑えて安定した収益を上げることが可能なのです」
もし1990年以降、日本株・日本債券・外国株・外国債券の4つの資産に均等に積立投資していたら、その間リーマンショックやユーロ危機があったにもかかわらず、年率換算で5%を上回る運用ができた。つまりリスクを避けて分散投資できる投信は、再び世界的な金融危機が起こったとしても、将来的に年利3~5%の運用実績を上げ続けていくことは、十分可能なのだ。
では、そんな投信の中でも、老後資産を守って増やすにはどのタイプを選べばいいのか。楽天証券経済研究所のファンドアナリスト・篠田尚子氏が言う。
「60歳以降の選択肢としては、基準価額の下落のリスクを抑えることを重視したものを選ぶべきです。現役時代なら一時的な下落に耐えて上昇を待つこともできますが、60歳以降はそうもいかない。虎の子の老後資産が少しでも減ることは避けたいわけです。そうなると、『リスクコントロール型』が最適だと思われます」
これは、ファンドマネージャーが市場動向に応じて株や債券など投資資産の組み入れ比率を機動的に変えることにより、下落のリスクを抑え、安定的に年利3~5%程度の収益を狙う投信だ。
リスクコントロール型でも運用内容は投信ごとに異なるが、篠田氏は着実な運用実績と販売会社が多いというトレンド・アロケーション・オープンと、ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンドを挙げる。
「国内外の株式や債券、リート(不動産投資信託)などの資産に分散投資し、毎日、それぞれの相場を判定。下落の危険性が高まった時は、組み入れている資産をリスクの低い安定資産や現金などに機動的に入れ替え、基準価額の下落抑制を図っています。また、保有時のコストである信託報酬率が低いのも魅力です」(篠田氏)
※週刊ポスト2017年11月10日号