つまり、人気公立小学校があるエリアは両親の学歴・平均年収が高く、教育や家庭内のしつけがしっかり行き届いている価値観の近い住民が多く住んでいる“いい環境”の街だというのだ。
実際、子供によりよい教育環境を与えたいと考え引っ越しを選択する、“孟母三遷”の教えを地で行く親も少なくないという。
「子供によりよい教育環境を与えたいと、お目当ての人気公立小学校の学区に引っ越す世帯は『公立小移民』と呼ばれています。弊社が運営する不動産情報サイト『住まいサーフィン』の会員499人にアンケートを実施したところ、『小学校の学区を意識して物件を選んでいる』という人が購入者の1割いることが判明しました。30代に限定すると、実に16%、6世帯に1世帯が公立小学校を意識しているという結果になったのです。つまり、人気の公立小学校では、定員の2割近くがこうした入学目的の引っ越し族なのです」(同前)
人気学区の立地は資産性も高い
実際のケースを見てみよう。3歳の子供を持ち、都内のIT系企業で事務職として働く東野由美さん(仮名・31歳)は、最近、公立小学校を意識して引っ越しをしたという。
「神奈川県川崎市にある宮前平小学校に通える学区内に引っ越しをしたのですが、もともと国家公務員宿舎や大手企業の社宅が多いエリアで教育熱心な方が多く、環境もいい。それに、私の実家が近いということもあり、この公立学校に通える学区に引っ越しをしました。
ここで小学校時代を過ごし、私立中学を受験してもいいですし、地元の公立中学にそのまま入ってもいいと思っています。夫は都内の会社に勤務していて、通勤は少し不便になりましたが、子供の教育のためにということで夫婦で答えを出して、この地域を選びました」(東野さん)