遺留分に配慮を 付言事項も必須
遺言書作成のなかで、注意しなければならないのは、相続人の権利である遺留分をふまえることと、なぜ遺贈するのか、その理由を「付言事項」に書き残すことだ。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者や子供)が相続財産に対して最低の取り分をもらう権利。例えば、妻と子供なら法定相続分の2分の1ずつを受け取れる。
法で決められたこの取り分を大幅に減らし、遺贈に多くの財産を分配すれば、争いの種になる。そうならないよう、本来の遺留分を考慮したうえで、いくら遺贈するか考える必要がある。
また、付言事項とは、遺言者の気持ちを書き記した部分のこと。法的拘束力はないが遺言者の意図を理解してもらい、遺族に余計な争いをさせない狙いがある。
「遺贈する理由を遺族に伝えておかないと、“寄付するくらいなら、きょうだいである自分にくれればいいのに”などと、遺族同士の争いになりかねず、すんなり執行されない場合も。社会貢献しようとした遺贈でトラブルは避けたいもの。付言事項は万能ではありませんが、一定の効果は期待できます」(星野さん)
遺言書には、自筆で署名・捺印する「自筆証書遺言」と、公証人が作成して原本が公証役場に保管される「公正証書遺言」がある。前者は手軽に作成できるという利点があるが、多少費用がかかっても、弁護士を立てるなどして作成する「公正証書遺言」の方が、遺贈が実現する可能性はぐっと高まるのでおすすめだ。
※女性セブン2017年11月16日号