【レバレッジを効かせてリターンを大きくする】=初心者は破産と隣り合わせ
レバレッジ(テコの原理)とは、元手の数倍分の商品を売買できる「信用取引」などで用いられる手法。上手くいけばリターンは大きいが、マイナスに振れれば自己資金では返せない損失を負う。
【NISAは非課税で資産も殖やせるWメリットが魅力】=株価下落で含み損と課税のWショックが最悪。
NISA(少額投資非課税制度)は、専用口座で取引をすると、毎年一定額の株式などの売却益や配当金が、5年間非課税になる。税金面でメリットがあるが、そこに落とし穴がある。
期限である5年後には、所有株式などを売却するか一般口座に移さなければいけない。たとえば100万円の株が50万円まで下がっていた場合、一般口座に移した時点で、50万円で買ったものとみなされる。その後に株価が100万円に回復してから売ると、利益が50万円出たとして課税対象となり、20%(10万円)の税金がかかる。NISAは期限内に儲けを出さなければ、損をする可能性があるのだ。
【貯蓄から投資へ】=国はもう面倒みられないから自分で殖やしなさい
この超低金利では貯蓄をしても資産は殖えない。政府はこのフレーズを盛んに唱え、投資環境の整備を進めるが、「年金に頼らず懐は自分で暖めろ」というメッセージにほかならない。
【お孫さんのために】=老後資産を吐き出させる魔法の呪文
「これでお孫さんの教育資金の足しにしませんか?」
「お孫さんと旅行にもいけますよ」
こんな言葉を、多くのシニアが金融機関の窓口などで聞かされている。結果、投資失敗やコストがかさみ、資産を食いつぶしただけ、という人も少なくないだろう。
言葉は魔物であり、それに生かされるも殺されるも自分次第。某週刊誌には、ローリスク・ハイリターンなんて見出しがあったが、そんなことはあり得ない。“悪魔の囁き”に騙されないよう、資産運用では言葉の裏も読むようにしたい。
●監修/藤井英敏氏(カブ知恵代表)、田代昌之氏(フィスコ・アナリスト)
※週刊ポスト2017年11月17日号