「ウチはただの大人のオモチャの製造企業じゃない。いつか中国のイノベーションの力で、笑って喋れる『セクサロイド』を開発していく。世界の歴史を変えてみせますよ」
中国遼寧省にある大連蒂艾斯科技発展股フン有限公司(EXDOLL社、以下EX社)CEOの楊東岳氏(34)はこう熱弁した。同社は今年8月、中国のベンチャー企業株式市場「新三板」に、なんとラブドール業界では“世界初”の株式上場を果たしてしまった。
ラブドールは人体の顔や身体を精巧に模した高級ダッチワイフを指す。2001年、日本のオリエント工業が発売したシリコン製の美少女ドールがマニアに熱狂的に支持され、2000年代半ばには10社近いメーカーが競合するブームが起きた。結果、日本の流行に敏感な中国人たちも興味を持った。
「当時の私は日本留学中。代購(ネット注文を受けて日本製品を中国に売る商売)で小遣い稼ぎをしていた。すると高級ラブドールの注文が多く、現物を買った私もファンになったのです」
“彼女”たちを中国でも作りたい。そう考えた楊氏は帰国後、26歳で起業の準備を開始。日本の某ドールメーカーの造形師の技術支援を受け、2011年に自社製商品を市場に送り出した。