宇宙人を101体集めたり、ビックカメラの前に10時間いたり……
私が2001~2003年の頃やっていた仕事は、朝日新聞が出していたタブロイド紙『セブン』、雑誌『日経エンタテインメント!』、雑誌『広告』のライター業務でした。ライターになったばかりだったので、何をやっていいのか分からないんですよ。当時27歳だったのですが、編集者からの命令を受けたらすぐに「わかりました!」と答えてはその通りにする。当然曲解することもあるので、無駄足も多く、時給換算したら300円ぐらいだったかもしれません。
この頃の睡眠時間は大体3時間で、朝の4時だろうが何時だろうが編集者から電話が来ていました。いずれも時間がなく、アポ取り、企画書送信、移動、取材、執筆を基本全部一人でやる。いくつか「時間だけかかってとんでもなく報酬が安かった仕事」を紹介します。
・突然9.11のテロが発生したため、アメリカに電話をして、市井の人々やイスラム教の専門家のコメントを突然の電話で多数獲得する。
・大麻の専門家を求め、大麻推進派、マトリ(麻薬取締官)、成田空港の麻薬探知犬、海外事情を探るべく外務省なども取材。
・「101匹宇宙人大集合」という特集で、過去のテレビ、映画、漫画、アニメに登場した宇宙人の画像101体を権利者から借りた。あまりにも素っ頓狂な特集のため、不審者がられること多数。『広告』という雑誌だったので「『広告』の中川と申しますが……」と言ったら「ウチは間に合ってるよ! 押し売り、シッシッ!」と言われること何度も。
・CM業界にまつわる謎、という企画でなぜか「謎が12個なくてはいけない!」と編集者から言われ、さらには「すべてに2~3か所の取材をするように」と言われ、一日中電話とファックスで依頼をし続けていた。
・芸能人のCMギャラトップ200を探るべく、その筋に詳しい人物と裏ルートで接触し、推定ギャラを作成。それを全部別の詳しい人物と照会させ、ギャラを決める作業をした。
・国会議員になったばかりの小渕優子氏の取材を突然しなくてはいけなくなり、どこにいるのか分からず「群馬が地元だから群馬にいるんじゃない?」と言われ、慌ててスーツを借りて群馬まで行く。事務所に行ったら「えっ? 来てるんですか?」と言われ「来てると聞いたんですが……」と答えたら「高崎駅前のビックカメラで演説することがありますが……」と言われた。それを真に受け10時間ビックカメラの前で「一流の張り込み記者」になった気持ちで「オレはスクープを取る!」と粋がっていたが、実際小渕氏は東京にいた。