問題は、「かけるお金」だ。
「自由診療は高額療養費制度の対象外。また、遠方の病院に通えば宿泊費や交通費もかさみます。再発・転移のリスクのための治療費も残しておかなければなりません」
出費が増える一方で、世帯収入は下がる。通院や副作用の影響で仕事は制限され、パートナーも付き添いなどで勤務時間が減るからだ。離職したらさらに年収が下がるので、罹患しても、仕事は安易に辞めないことをおすすめする。
がんと疑われた時点ですぐに申請すべき制度
もらえるお金にもいろいろある。まず、休業・失業・退職した場合に使える制度は「傷病手当金」と「障害年金」がある。
「傷病手当金」は、協会けんぽ、組合健保、共済組合の加入者が、がん治療や入院などで働けない時のための所得補償。勤務先に申請すると、休業期間中でも日給の3分の2が、最大1年6か月まで支給されるので使わない手はない。
「障害年金」は、病気で生活や仕事をする上で障害が生じた時に生活を保障してくれる制度。「初診日」から1年6か月経過して初めて申請できる。ただ、国保の加入者は2級以上でないと申請できないなど、受給のハードルは高い。
自営業者の場合は、国民健康保険の自己負担減免制度の活用を。自営業者などががん治療による収入減などで保険料支払いが厳しくなった場合に、国民健康保険料の減免、支払い回数を増やす分割納付、支払いを延ばす徴収猶予ができる。