中国からアメリカへの要求は?
一方、中国側がアメリカに要求したのは中国企業に対する待遇改善である。中国のハイテク製品輸出管理制限の緩和であり、中国のWTO加盟議定書15条義務の履行(*)、中国企業のアメリカ投資に対する公平な待遇である。そのほか、中金公司が単独でアメリカにおける金融業務免許を申請できるよう推し進めることや、貿易救済措置を慎むことなどを要求している。
【*中国が2001年にWTOに加盟した際、15年間は「非市場経済国」の扱いを受け入れており、中国の輸出品について、中国以外の第三国の価格を基に不当廉売かどうか判断することができると規定されている。この規定は2016年に失効しているが、中国は、いまだに米国はこの規定を用いていると主張している】
トランプ大統領の外交政策において、最も重要なことは、アメリカ第一主義、反グローバル化である。アメリカ側の利益を保障することであり、アメリカ人の従業機会、収益機会を守ることである。ゴルフ外交を展開した日本に対して、中国は経済貿易面で着実に実績を積み重ねている。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。