日本株の上昇相場が続いているが、それを支えているのは、東証の売買代金の約7割を占める外国人投資家であるのは間違いない。その外国人投資家が日本株の評価材料としているのが、アベノミクスを支える「安倍―黒田ライン」である。
安倍晋三首相の長期安定政権に加え、市場に資金を溢れさせる異次元金融緩和を堅持する黒田東彦・日銀総裁がもたらす安心感が海外マネーを呼び込んでいると見ているからだ。そのため、日銀総裁人事は、株価に大きな影響を及ぼすことが予想される。投資情報サイト『IPOジャパン』編集長の西堀敬氏が語る。
「来年4月に任期満了となる日銀総裁人事は来年1月末にも決まる。市場関係者の間では黒田氏の続投が有力視されているが、人事は正式決定するまでわからない。黒田氏退任となれば、外国人投資家の失望売りが広がり、暴落につながるリスクが高まる」
マーケットバンク代表の岡山憲史氏はこんな見方をする。
「再任の可能性は高いが、そのシナリオが崩れた際には、直ちに売りサインが点灯する。仮に退任となった場合、本田悦朗・駐スイス大使や岩田規久男・副総裁のように黒田路線を継承する人物への交代なら、やがて落ち着きを取り戻すだろう。だが、それ以外の人物に決まるようなら、さらに明確な売りサインとなるに違いない」
日銀総裁人事がどうなるか、市場は注目している。
※週刊ポスト2017年12月1日号