作戦で道路まで封鎖
実は最近、遠藤さんのように騙そうとする犯人たちに騙されたフリをして、逮捕に協力する高齢者が増えている。
中には何度も犯人検挙に成功した猛者もいる。埼玉新聞2016年6月23日付記事には、「さいたま89歳男性 『受け子』逮捕4度目お手柄 大宮署表彰も検討」という記事が載った。この男性の「次男」を騙って「小切手がなくなってしまった」「現金270万円を代わりの者に渡してほしい」と要求する電話にピンと来た男性は、すぐに警察へ通報。自宅前で待ち伏せした警察が、「受け子」と呼ばれる現金回収係の逮捕に成功したという。しかし、大宮署はこの報道を訂正する。
「新聞では4回となっていますが、実際に検挙に協力していただいたのは5回でした。署として感謝状も2度、贈りました。いまでは少し慣れてきたようで、すぐに連絡を頂き、捜査陣との連携もスムーズでした。もちろん捜査の過程で協力者に危害が及ぶことがないよう、万全の態勢を整えています」(大宮署副署長)
警察もこうした高齢者たちに積極的に協力を仰ぐ。佐賀県警は昨年5月、「SPOT」というプロジェクトをスタートした。「Swindle(詐欺)Pretend(ふりをする)Operation(作戦)Team(チーム)」の頭文字を取り、160人の現役警察官、県警OB、そして一般の高齢者の協力を得て詐欺集団を検挙しようというプロジェクトだ。
「今年は10月までにSPOTで7件8人を検挙しており、そのうち3件は民間の通報から『騙されたフリ作戦』をお願いし、検挙に繋げました」(佐賀県警刑事部捜査第二課)