【1人目:美容系フリーライター・A】
さて、私が出会った勧誘者の一人目はとある美容系のフリーライターでした。26歳の頃、私は企業のPR活動を代行する仕事をしていたのですが、ある外資系アパレルブランドの日本上陸の記者会見を手伝った際、そのライター・A氏(女性)が取材に来てくれました。彼女はファッションやコスメといったテーマを中心に書くライターです。この記者会見の際は、オープニングパーティも同時に開催したのですが、ここに私の担当する別の企業の低アルコール飲料をタイアップで提供してもらいました。
A氏とそのアパレルブランドの魅力などを語っていたのですが、彼女はその飲料を飲んで「あら、これ、おいしいわね」と言います。この場においては、メインのクライアントはアパレルブランドなんですが、飲料のPRもやっていただけに「もしお気に入りのようでしたら、Aさんの事務所にケースでお送りしますよ。是非とも雑誌などで紹介してください」と依頼をします。すると彼女は「むしろ、私の事務所に来て、ゆっくり説明してくださるかしら?」と言います。
じっくりと商品の歴史やら特徴を説明するのであれば、その方が飲料をメディアで取り上げてくれるかも……、などという下心もあったため、彼女の事務所を訪れることにしました。しかし、後日ケースを抱えて彼女の事務所を訪れ、商品説明をすると妙に気がない。
「はい、はい。なるほど。はいはい、大体分かりました。これで何か企画を作れるか考えてみますね。編集部にも何本か渡しておきますので」
こう彼女は言ったが、続いて「あっ、そういえば……。あなた、若いから色々とニキビが出たり、スキンケア必要なんじゃないの?」と言われました。私は「う~ん、あんまり脂っぽくない皮膚なんで、ニキビってほとんど出ないんですよね。何らかのケアで使っているのは98円のリップクリームぐらいですよ」と言いました。すると彼女は「ダメよ、それじゃ!」と言い、「これ、これ、あなた、使ってみて!」とX社のスキンケア用のクリームを取り出します。
そして、私の手を取り軽く握ってから手の甲に塗り始めました。「おっ、女の人から手を握ってもらえた……」と当時まったく女性からモテることのなかった私は、少しの嬉しさを覚えました。