中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

私が出会った4人のネットワークビジネス勧誘者の言葉

「これ、本当に効くのよ! 私、このメーカーと懇意にして、いつも色々なものを買っているの。あなたにも売ってあげるけどどう? こういったクリームだけでなく、電化製品からサプリメントまでなんでもあるけど」

 当時私は社会人でありながら大学の寮に住む知り合いの部屋に居候をしており、極力モノは増やしたくありませんでした。実際問題として身体に不調もないし、そもそも仕事が忙しすぎて風呂に入るのも数日に1回の有様で、部屋にもいないことも多いため、モノが増えても使わないと考えたのです。

 そこで「いやぁ~、オレ、あんまりモノいらないんですよね~。せいぜい買うものって『ガリガリ君』とかのアイスぐらいなんですよ……」と言いました。その後も若いうちの体のケアが非常に大事だとか、良い製品を使わないと人生が暗転する、など色々言われたのですが、途中から当初の目的を思い出しました。

「なんでこのおばさんは突然露天商のようなことをやり出したんだ? オレはこのアルコール飲料の売り込みに来たのに、なんでオレが逆に売り込みに遭ってるんだよ……」

 当初の目的はクライアントの製品を売るためなのに、それとは関係のない商品を売り込まれている自分が仕事人として情けないと思い、「私は仕事中なので、ちょっと今ここで買うわけにはいきません」と伝えました。

 すると彼女は途端にそっけなくなり「あっ、そう。まっ、私もこの飲料は紹介しないんで。じゃあ、さようなら!」と言い、私は部屋から出ました。

 いったいこれはなんだったのか? そう思ったところで、周囲でもこういった体験をする人がチラホラ出てきてこれが「ネットワークビジネス」というヤツの勧誘であることを理解したのでした。以後、3回同じような体験をしましたが、毎回甘言を弄してから、拒否すると素っ気ない態度になる、というのが続きました。ちなみに全員女性でした。

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