1990年代まで数%程度だった生涯未婚率は、2000年代に入って急上昇。国立社会保障・人口問題研究所が今年4月に発表したデータによれば、50歳まで1度も結婚したことがない人は、男性で4人に1人、女性で7人に1人に上っている。結婚をする・しないはあくまでも個人の自由だが、「家族が途絶えないように」「孫の顔が見たい」と、親が子どもの結婚を望む気持ちも理解できるだろう。40代になっても独身を貫く男性Mさんは、この夏、親から“絶縁宣告”を受けたという。
Mさんは高校まで神奈川県にある実家で暮らし、大学入学以降はずっと都心で一人暮らしを続けてきた。実家までは電車で1時間半程度だが、実家に帰るのは年に1度か2度。この夏、母親から「話があるから」と言われたため、実家へ行ったところ、こんなことを言われたという。Mさんが振り返る。
「実家に帰って夕食を食べ終えると、父と母が改まった様子で『お前は結婚しないのか?』と聞いてきたのです。そこで私が『う~ん、気に入った人がいれば……、いや、むしろオレを気に入ってくれる人がいれば……』といった煮え切らない返事をすると、父親は軽く溜息をつき、『そうか……』と言ったんです」
Mさんの父親は小さな会社を経営しており、M家は客観的に見てかなり裕福な家庭。Mさんは小学校から私立に通い、何不自由なく育てられたが、Mさんは会社を継がなかった。金融マンとし多忙な生活を送り、社会的には“勝ち組”に入るMさんだが、父親は息子の返事に落胆した様子で、こう語ったそうだ。
「お前が会社を継がなかったことは、特に何とも思っていない。むしろ、お前がやりたいと思った仕事で頑張っているのは誇らしい。ただ、結婚していない以上、将来、私たちの面倒を見ることはできないだろう。そこで母さんと考えて、私たちは施設を探してきた。それがここだ」