日本株の上昇局面ばかりに目が行きがちだが、世界の時価総額の大半を占める米国株の勢いが止まらない。ニューヨークダウやナスダックは史上最高値を更新し続け、「米国経済に“死角”なし」という声まで聞こえてくる。
その米国市場、ひいては世界的な株高を牽引するのは「ビッグ5」と呼ばれる、アップル、グーグル(持株会社・アルファベット)、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックの米国IT企業5社。はたしてその勢いはどこまで続くのだろうか。
今年に入ってからも、米IT「ビッグ5」の株価は揃って右肩上がりとなり、時価総額でも世界の1~5位を独占する躍進ぶりだ。日本の中小型株を主戦場としてきた「ひふみ投信」でも、今年6月からマイクロソフトやアマゾンといった米国株を組み入れ始めている。同ファンドの運用責任者である藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表取締役社長・最高投資責任者)が、その強さについてこう分析する。
「まずパソコンを動かす基本ソフト(OS)でWindows帝国を築いたマイクロソフトは、『地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする』というミッションを掲げて、ソフトウェアの会社というよりは、『Microsoft Azure』をはじめクラウドへのシフトを進めています。
そしてアマゾンは、ありとあらゆるものを扱うネット通販のみならず、リアル店舗の試験的な運営に加え、米スーパーマーケットチェーンのホールフーズを買収するなど、ネットとリアルの両方で成長を志向しています。
さらに今後、可能性が高いと見ているのは、仮想通貨の分野への本格的な進出です。商品を販売するだけでなく、決済手段も手に入れることで、消費という行為全体を自社でまかなうことができる戦略に打って出ようとしているのではないでしょうか」