Aさんは孫に財産を残そうと毎年、贈与税の非課税枠(年間最大110万円)を使って100万円ずつ、10年間で1000万円を孫の通帳に振り込んでいた。Aさんの死後、相続人の子供たちはこの1000万円を相続税の対象から除外して申告した。だが、Aさんが生前、その通帳、印鑑、カードを管理していたため、孫に贈与したつもりでも、税務当局から「名義預金」と判断され、相続税逃れの違法行為と見なされた。
「近年では名義預金の他に、純金や現金の形で、あるいは海外の銀行口座に財産を移す方法で相続税を“節税”しようとする人も多いが、国税は海外を含めた資産情報を集中的に収集して、相続が開始するまでKSKシステム(国税総合管理システム)で管理しているから隠すのは難しい」(前出・武田氏)
※週刊ポスト2017年12月8日号