もっと調査が厳しいのが「小規模宅地」の特例だ。これは330平米以下の宅地(マンションも可能)を「同居親族」が相続した場合、評価額を80%減額できる制度で、地価の高い都市部の不動産を相続した人には大きな節税になる。
母から家と土地を相続したAさんはこの特例を使って相続税を計算していた。
ところが、Aさんは住民票をこの家に置き、週の半分以上は泊まって亡くなるまで母の介護をしていたものの、Aさんの家族は近くのマンションで生活していた。税務署はこれを理由に「同居」とは認めず、多額の追徴課税を迫られた。
「都心部では小規模宅地の特例が認められるかどうかで相続税額が数千万円も違ってくる。そのため税務当局は本当に同居実態があるか、いつから同居していたか、嫁姑の仲まで徹底して調査します。誤魔化しは通用しません」(国税OB)
※週刊ポスト2017年12月8日号