この後、27日までの段階で新しい動きはないが、結果的に楽天・SBIに値下げ競争で追い越された格好となったマネックスが両社の水準に合わせてくるか、あるいは一段の下げを発表してくるかどうか、注目したい。さらに、これまで静観していたカブドットコム証券や松井証券も値下げに踏み切る可能性も考えられる。
個人投資家の囲い込みを狙う
この熾烈な値下げ競争の背景には、この秋の上昇相場で個人投資家の売買が膨らんでいることが考えられる。既存投資家だけでなく、良好なマーケット環境や2018年1月のつみたてNISA(少額投資非課税制度)のスタートを機に新たに投資を始める層も多く見込まれるため、証券各社はこうした層を取り込んでシェア拡大を狙っていると考えられる。
手数料が下がること自体は、個人投資家にとっては歓迎すべきことだ。ネット証券各社の月次業績や月間売買実績を見ても、上昇相場を背景にこの秋は順調に伸びており、株式市場の活況が続く限りは大きな問題はなさそうだ。株式市場が低迷して、取引が減少したときのことがやや心配ではあるが……。
文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)