競争相手がいれば売り値を下げるのは、商売では当たり前のこと。それはJRの運賃にしても同じ。基本的に移動した距離で料金が決まるが、ライバルがいる区間では、安めに設定されることもある。
例えば都内の「電車特定区間」という区域の場合、料金は「1~3km」が140円、「4~6km」が160円、「7~10km」が170円といった具合に、距離に応じて高くなっていく。このルールに則って、JRの新宿駅~八王子駅間を計算してみると、両駅の距離は37.1kmなので、「36~40km」の料金は640円。しかし実際には、両区間を結ぶ切符は480円に設定されている。いったいなぜだろうか。
これは、京王電鉄が並行して両区間を結んでいるからだ。京王電鉄は、都内の私鉄でも料金が安いことで知られており、京王の新宿駅~京王八王子駅の料金は360円。ちなみにJRでは「16~21km」が310円、「22~25km」が390円なので、およそ37km乗って360円という京王の価格設定がいかに破格かが分かるだろう。JRは、少しでも京王に対抗するために、特別に料金を下げていると考えることができる。