「交通の便が良い=住みやすい」ではない
ただし、便利だから住みやすいかと言えば、それはまた別問題です。まず1つ目の問題は、人が多すぎることです。もともと電気街の頃からマニアが集う街でしたが、そこにアイドルその他のオタク的要素が加わり、多ジャンルのマニアの聖地と化しているのが現在の秋葉原。目を輝かせて街を歩く少年少女や、家まで待ちきれないのか、道端で戦利品を確認している人をそこらじゅうで見かけることができます。
さらにここ数年の訪日外国人急増に伴い、外国人観光客が街に溢れるようになりました。秋葉原は定番の観光ルートになっているようで、爆買いした家電製品を積み上げて観光バスの集合時間を待つ外国人の姿は、今やすっかりこの街のおなじみの光景です。
そしてもう1つの問題は、存在する店のジャンルが極端に偏っていることでしょう。例えばアイドル、アニメ、マンガ、ゲーム、パソコン、無線などに興味がある人にとっては、この街は天国です。そういったお店が日本一(=世界一)集まっているのが秋葉原。どんなにマニアックな商品でも見つかり、同好の士も見つけやすいこの街に住みたいと願う気持ちはわかります。
しかし、メイド服を着た女性たちが、街のそこかしこでメイドカフェのビラを配る光景に象徴されるようなこの街の特殊性は、必ずしも多くの人に受け入れられるものではないでしょう。
そもそも秋葉原一帯は商業ゾーンなので、住む場所自体があまりありません。住むとすれば、昭和通りの東側の台東区方面になりますが、そのあたりは文化圏的には秋葉原とは別の地域です。ちなみに秋葉原の「ワンルーム・1K・1DK」の家賃は10.33万円(ライフルホームズ調べ)。そこそこの稼ぎがあり、その筋のものが好きという人以外は、住むという選択肢から外れる街ではないでしょうか。