12月は、年度末である3月と中間期末である9月に続いて株主優待の権利確定が多い月だ。ボーナスで追加の投資資金を投入する人も多く、楽しみが多いシーズンでもある。NISA(少額投資非課税制度)の枠が残っている人の中には、その枠を優待銘柄で使い切ろうと考える人もいるだろう。
年内最後の優待獲得やNISAの使い切り以外にも、年末の投資家には大切な仕事がある。1年の投資の収支を計算し、支払う税額を減らすことだ。
利益が出ている場合、そこから約2割が税として源泉徴収されているが(源泉徴収なし口座の場合は、確定申告で納付)、保有株に含み損が出ている銘柄があるならそれを売却することでトータルの利益額を減らし、税額を減らすことができる。これを機に損切りするのもいいし、引き続き保有したい場合でもいったん売却して損失を確定させてから、買い直すことを検討したい。そうすれば2017年の税額を減らせるうえ、口座を開くたびに含み損を見せられることもなくなる。
このような作戦を実行する人が多いことから、年末は株価が低迷した銘柄を売却する動きが出やすい。要するに、1年の値動きが良くなかった銘柄は、年末にさらに下落しやすくなるのだ。逆に、優待銘柄の仕込み時を狙っている人にとっては、安く投資できるチャンスが来るかもしれない。12月に権利を得られる優待銘柄の中では、レシピサイトのクックパッド(2193)などにこうした動きが出る可能性も考えられる。