「2000年に介護保険制度がスタートして以来、おおむね3年ごとに法改正が行なわれてきました。基本的な流れは、介護費用を圧縮すべく、サービス給付の“蛇口”を締めていくというもの。来年の改正も、同じ文脈に位置づけられます」
まず自己負担の増加だ。現在、介護保険利用者の自己負担は1割だが、2015年の改正で年収280万円以上の人は2割負担となった。2018年の改正ではこれに加え、年収340万円以上の利用者については3割負担となる(8月から実施)。
団塊の世代が全員75歳以上になる2025年には介護保険からの給付総額は20兆円を超える見込みだ。この数字を少しでも圧縮したい国が、介護保険利用の抑制につながる自己負担増を言い出すのは分かりやすい構図だ。
一方で今回の法改正では介護保険サービスと、障害福祉サービスの垣根を取り払おうとする『共生型サービス』の導入など、利用者の利便性向上につながり得る試みが盛り込まれているのも確かだ。ただし、サービス利用者にとっての“不利益変更”のほうが目立つと、専門家たちは指摘する。
要介護度“格下げボーナス”
とりわけ懸念されているのが、介護保険利用者の「自立支援」という名目での「インセンティブ制度」の導入だ。介護アドバイザーの横井孝治氏が解説する。