日本企業はAI(人工知能)やICT(情報通信技術)を駆使してこの人たちの削減を進めることをしなかったから、給料を上げられないのである。
銀行も完全に人余りだ。報道によれば、三菱UFJフィナンシャル・グループは2023年度末までに三菱東京UFJ銀行の従業員約4万人のうち約6000人を削減する。みずほフィナンシャルグループも2026年度末までに従業員約8万人のうち約1万9000人を減らす方針だ。三井住友銀行も今後3年で約4000人分の業務量を削減するという。
だが本来、銀行の人員削減は、その程度では済まない。究極的には銀行の存在意義そのものが失われ、ほとんど人は要らなくなるだろう。すでに中国では、モバイル決済サービスの「アリペイ(支付宝)」や「ウィーチャットペイ(微信支付)」の普及により、それが現実のものとなりつつある。そういう金融業界の劇的な変化を、日本のメガバンクのトップは、まだ全く理解していないようだ。
※週刊ポスト2017年12月15日号