その一方、簡素な作りのアパートは、マンションに比べて少々の住みにくさを感じることもあるかもしれない。東京都世田谷区内のアパートに住んでいる30代のフリーライターAさんはこう話す。
「たしかに、下の階の住人が帰ってくるのが音で分かったり、隣の家での晩御飯の献立が匂いで分かったりします(笑)。こちらとしても、あまりうるさくならないように、生活音に気を使う部分もあります。また建物のエントランスがなく、玄関のドアを開けたらすぐ道路という点は、デメリットですね。雨が降ると傘をさしたまま玄関の鍵を開けなくてはいけないので、必ず濡れてしまいます」
アパートの家賃 同じ間取りのマンションより数万円安いことも
やはり設備面では、マンションに劣ってしまう部分も少なくないアパート。しかし、その分家賃は安くなっている。前出のAさんが話す。
「アパートというと、単身者が住むワンルームが多いイメージですが、私が今住んでいるのは3LDKのファミリー向け物件です。家賃は18万円。おそらく同じような条件のマンションの家賃は20万円から24万円くらいなので、かなり安いといえると思います。しかも、築4年なので室内の設備などは、ほぼ最新のもの。水回りなども一般的な最新マンションとまったく変わりません」
これだけ安い家賃で住めるのであれば、マンションよりもアパートを選ぶ人がいるのもうなずける。Aさんは続ける。
「実は私のアパートは7世帯が入っていて、そのうち5世帯が単身者向けの物件。残り2つがファミリー向けになっています。そして、そのファミリー向けの部屋に住んでいるのが、私の家族と大家さん。元々、大家さんが二世帯住宅に近い感じで、2つのファミリー向けの部屋を使う予定だったのが、事情があって1つを賃貸に出したという感じですね。特殊な事情なので、かなりの掘り出し物だったと思います」