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10%への消費増税は前回より上げ幅低いが心理的影響大きい

 総選挙前に安倍首相が記者会見で消費税増税を発表すると、藤井氏は京都大学の自身の研究室で増税がどう影響を与えるかの実証研究に着手した。選挙後、その結果をもって政府や自民党の要人たちに1枚の報告書を突きつけた。

 そこには、こう書かれている。

〈「10%」増税は、巨大な消費低減効果を持つ。とりわけ女性に対する影響は極めて甚大〉

 この提言が波紋を広げた。

「女性」が買い控える

「藤井研究」の特徴は、マクロ経済や財政論ではなく、「消費者行動心理」の面から増税の影響の実証実験に取り組んだことだ。

「国土強靭化」の旗振り役として知られる藤井氏の専門は都市社会工学だが、スウェーデンのイエテボリ大学心理学科で客員研究員を務めた社会心理学者でもある。学位論文のテーマも「消費者行動心理学」だ。

「次の消費税増税は税率が10%へと2ポイント引き上げられるから、増税幅だけを見ると前回(5%→8%)より小さい。経済学は『人間は合理的だ』という仮説に立っているから、今回の消費増税の影響は前回より小さくなると予想する。“2ポイントくらいたいしたことはない”というわけです。

 しかし、心理学は『人間は合理的でない』という前提に立つ。だから消費税率が3%や8%時には税額が計算しにくく、税負担をあまり考えない人も一定数いる一方、税率10%だと計算は簡単だから、誰もが“こんなに税金が高いのか”と買い控えるようになると予想される」(藤井氏)

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