どちらが正確なのか。藤井研究室は、全国の男女100人ずつ、計200人を対象に実験を行なった。
被験者に増税後の消費税率をさまざまに変えながら、欲しい商品を「絶対に買う」から「絶対に買わない」まで9段階に分けて回答させ、税率の「数字」の印象によって購買意欲がどう変化するかを調べたのだ。
「実験の結果、予想通り、消費税率が10%になれば増税に対する『心理的負担感』が格段に大きくなり、前回の8%増税時の1.5倍の消費縮小効果をもたらす。とくに女性に限れば、その『心理的負担感』は2~3倍程度にまで拡大し、激しく『買い控える』ことが示された。合わせて、自動車やマイホームなど高額商品ほど『買い控え』が大きいことも実証された。
だから、前回増税時の世帯消費額の落ち込みは7%だったが、今回の落ち込みは1割程度に達し、国民のさらなる貧困化が決定的となる。そうなると、企業の売り上げも1割減って、賃金も下がってリストラは確実に増える」(藤井氏)
前回の「8%増税」後、3年間で家計の実質消費が1か月あたり平均2万8000円(年間約34万円)も落ち込み、実質賃金は4%以上ダウンした。高成長路線に乗ったかに見えた日本経済はあっという間にマイナス成長に転じた。
その1.5倍から3倍の悪影響が消費行動に現われるという指摘だ。
※週刊ポスト2017年12月22日号