経済ジャーナリストの荻原博子氏は「年金増税は高所得者に限るというのは方便」と指摘する。
「10年前、政府が年金控除を大きく減らした結果、年7万円ほどの増税になり、高齢者の不評を買った。そこで今回は高額所得者の年金だけに増税するのだといって批判をかわしている。サラリーマン増税と同じ手法で税制改正のたび段階的に増税対象を働く高齢者全体に広げていくでしょう」
現役世代が老前破産なら、年金世代は「老後破産」の道をまっしぐらである。これほど国民を増税で痛めつける一方で、政府は「景気拡大はいざなぎ景気を超えた」といいながら、空前の利益をあげている企業には法人税を大減税しようとしている。
「持たざる者から、持てる者に再配分する国」──それが税制改正で目指す国家像なのだ。
※週刊ポスト2017年12月22日号