田代尚機のチャイナ・リサーチ

ヤフー検索もNGに 中国ネット規制強化の目論見

 また、政府サービス面では公共サービスの均等化、低所得者への浸透、簡便化などを促進することができる。民生の不足部分を補い、教育、就業、社会保障、医薬衛生、住宅、交通などの領域に応用することができる。ビッグデータ技術の発展は、インターネット、人工知能の発展と共に今後、社会を一新させることになるだろう。

国家が管理できないインターネットは害が大きい

 中国は世界で圧倒的に人口が多く、国土が広く、中国語によるデータは英語に次いで多い。ビッグデータ発展に関して、中国は世界的にみて圧倒的に有利な条件を有しているといえよう。習近平国家主席は、「国家データの安全を保障し、カギとなる情報インフラ設備の安全保護を強化し、カギとなるデータリソースの保護能力を強化し、データ安全に関する予防・警告、原因追及能力を増強する。技術特許、データ版権、データコンテンツ製品、個人のプライバシーなどの保護能力を強化し、幅広く人民大衆の利益、社会の安定、国家の安定の維持に努める」などと発言している。

 9月以降、中国のインターネット規制は強化されており、中国本土ではヤフー検索ができなくなっている。一部の地域だけなのかもしれないが、日本の大手経済新聞社の有料ページも閲覧不能となっている。VPN接続についても、その多くが接続不能となっており、中国に住む日本人は海外の情報を収集するのに一段と苦労するようになってきた。

 こうした規制強化の動きについて、日本では、社会の安定を保つために、海外情報へのアクセスを制限しているのだといった意見も見られる。しかし、中国に暮らす者の観点からすると、そうした意見には大きな違和感がある。習近平国家主席の人気は過去の国家主席と比べ、とても高い。少なくとも庶民の間では、汚職撲滅運動の徹底をはじめ、指導力の高さを評価する意見は多い。個人の平均所得水準が向上し続けていることもあり、社会の安定性は高まっているといえよう。

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