年金の受給開始年齢引き上げ議論が本格化しつつあるなか、老後不安の解消に向けて効果的なのが「老後の生活費をいかに抑えるか」だろう。ところが、「実際には収入の上昇に伴って生活レベルを引き上げてきた家計が、生活費を下げることは難しい」と指摘するのは、ファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)だ。以下、藤川氏が解説する。
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現役時代にバリバリ働いて収入を増やしてきた人の中には、自宅や車などに惜しみなくお金をつぎ込んで生活レベルを上げてきた人も少なくないでしょう。「自分の稼ぎだから文句をいわれる筋合いはない」という理屈はわかるのですが、そうした人はいざ、生活レベルを下げようとしてもなかなかうまくいかないでしょう。
その一方で、いくら懐が潤っても若い頃からの生活レベルを引き上げないで、他人にいわせれば「ケチな生活」を送ってきた人がいるのも事実です。特に毎月かかってくる「固定費」を抑えてきた人は、しっかりとお金を貯められる人が多く、年金生活となり収入が激減しても老後不安とは距離を置ける可能性が高まります。
したがって、現役世代が来る老後に向けて意識すべきことは、収入の上昇と生活レベルの向上を比例させてはならないということです。それをいまのうちから心がけておく。
節約というと、日々の食費を抑えるとか、外食や旅行の機会を減らすといったことに目が向きがちですが、そのような「やりくり費(変動費)」は削るのは簡単でも効果は一時的です。またいつまでも我慢し続けるには限界もあるでしょう。